そして14週間後、参加者のカラダには様々な良い変化が起きていました。
第一のメリットは、コレステロールのサイズが大きく変わった点です。卵を1日3個ずつ食べた参加者は、粒子が大きいコレステロールの量が、LDLが21~37%、HDLは6~13%も増えていました。
「サイズ」という表現が耳慣れないかもしれませんが、これはコレステロールを構成するリポタンパク粒子の大きさを意味します。ここ十数年の研究により、コレステロールは量とサイズの両方が重要なことがわかってきたのです。
例えば2013年にカナダで行われた観察研究によれば、LDLコレステロールのサイズが小さい人は、心疾患の確率が3倍も高かったそうです(4)。ひとくちに“悪玉コレステロール”といっても、サイズが大きければ血管壁にこびりつきにくくなるんですね。
さらに、もうひとつ確認されたのが、コレステロールの流出能の改善です。これはHDLの性能を表す言葉で、過去のデータからも、コレステロール流出能が上がるほど心臓発作にかかりにくくなることがわかっています(5)。簡単に言えば、善玉コレステロールの性能がアップし、血管にこびりついたプラークを取り除きやすくなったわけです。
そして最後のメリットが、血中の酸化物質の増加です。卵を1日に3個ずつ食べた参加者は、血中のルテインやゼアスタキサンチンといった物質が、およそ20~31%の範囲で増えているのが確認されました。
いずれもカロテノイドと呼ばれる天然色素の一種で、強い抗酸化作用を持った物質。その全体像はまだよくわかっていませんが、近年の実験などでは高齢者の脳を若く保つ作用が示唆されています(6)。まだまだデータの積み重ねは必要ですが、アンチエイジングに役立つ可能性は高そうです。