photo by Sorovas via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
「北方4島での共同経済活動実現に向けた協議開始を合意」――。
北方領土問題の解決という意味では、成果はゼロに等しかった昨年末の日ロ首脳会談。しなやかさとしたたかさを併せ持つロシア外交の狡猾さをまざまざと見せつけられた格好だが、安倍首相としては、民間も含めた総額3000億円にのぼる8項目の経済協力をとば口にして、改めて領土交渉の再開を目指したい構えだろう。
今も「食い逃げされた」と批判が燻っているロシアに対する8項目の経済協力だが、実は今回の合意からは外れたものの、会談前からにわかに注目されていた壮大なプランがあった。かねてよりロシア側から熱心な働きかけがあった「シベリア鉄道の北海道延伸計画」だ。
100年前に開通しユーラシア大陸を横断するシベリア鉄道は全長9297kmに及び、日本海沿岸のウラジオストクとモスクワを7日間で結ぶ世界最長の路線。幻となった延伸計画では、大陸とサハリン(樺太)間の間宮海峡(約7km)、サハリンと北海道・稚内間の宗谷海峡(約42km)を巨大な海底トンネルで結び、実現すれば、鹿児島からロンドンまでの鉄道旅行さえ可能になる夢のプランだったのだ。