労基署臨検の主眼は何か? 勤務管理表改ざんの摘発より重要なこと

健康被害の未然防止がおろそかになっていないか

 この問題を分解して考えると、最も守るべきあり、実現すべきことは、ビジネスパーソンの健康被害を未然に防ぎ、心身ともに健康な状態で、より高いパフォーマンスを発揮していていただくことではないだろうか。だとすれば、端的に言えば、勤務管理表の記載と実態の齟齬よりも、本人の心身の健康状態のレベルの把握が、より重要となると思えてならないのだ。  誤解を恐れずに申し上げれば、勤務時間が短い人でも健康状態がすぐれない場合は問題であるし、仮に長時間労働をしていても心身ともに本当にピンピンしている人は問題が少ないと言える。健康状態は千差万別なので、個別の状況に合わせたケアが必要なのだ。  すなわち、残業時間という一律の量的規制ではなく、個別の健康状態を把握して、健康被害を未然に防ぐという段階に入るべきではないかということを言いたいのだ。このように申し上げると、「それが出来ないから、量的規制をしているのではないか」「出来ていれば、20時消灯だとか、全館閉鎖などという強制的な方法はとらない」……という反応をいただくことが多い。
次のページ 
労働時間以外も健康被害の兆し把握を
1
2
3
4
チームを動かすファシリテーションのドリル

「1日1分30日」のセルフトレーニングで、会議をうまく誘導し、部下のモチベーションを自然にあげられる!