NASA、日本が一番乗りするはずだった「木星の小惑星」に探査機打ち上げへ

日本が一番乗りするはずだった木星トロヤ群

ルーシーの探査計画の案。小惑星帯を通過して木星トロヤ群小惑星に到着、4つの小惑星を探査した後、一度地球に近付き、ふたたび木星トロヤ群に戻り、最後の2つを探査する (C) USRA-Houston

 木星トロヤ群を世界で初めて探査するルーシーだが、実は日本も2000年代から探査機を打ち上げる構想をもっており、もしかしたら一番乗りできる可能性があった。  日本の探査機は「ソーラー電力セイル探査機」といい、帆船のように巨大な帆を広げ、そこに貼り付けた薄い太陽電池で電気を作り、燃費のきわめて良い電気推進エンジンを動かして宇宙を航行するというダイナミックなアイディアである。  2010年には小型の実証機「イカロス」が、金星探査機「あかつき」といっしょに宇宙へ打ち上げられ、宇宙で巨大な帆を開くことができるのか、太陽電池で発電できるのかといった試験が行われ、すべて成功している。  もしこのタイミングで開発が始まっていれば、今ごろはもう木星トロヤ群へ向けて打ち上げられ、世界初の木星トロヤ群探査に向けて宇宙を航行していたかもしれないが、予算や技術、得られる成果の見込みなどいくつかの問題から正式な計画には選ばれなかった。  現在もソーラー電力セイル探査機の検討は続いており、今後正式に計画として認められれば、2020年代中~後期ごろの打ち上げを目指すことになる。しかし、この場合、木星トロヤ群に到着するのは2030年代になるため、ルーシーの打ち上げが遅れたり、失敗したりしない限りは、一番乗りの称号は得られない。
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2番でも日本の探査機にある意義
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