この他、Jクラブの下部組織がベトナム遠征するケースも増えており、2016年はガンバ大阪と川崎フロンターレが訪越して、地元のアカデミーと親善試合を行っている。このうちガンバ大阪は今年、ベトナム屈指の名門アカデミーであるPVF(PROMOTION FUND VIETNAMESE FOOTBALL TALENTS)と提携し、PVFのU-15チームに指導者を派遣。川崎フロンターレは、親会社同士がビンズオン省で都市開発案件を展開している関係で、ベカメックス・ビンズオンFCと下部組織や指導者間の交流を毎年行っている。どちらも継続して下部組織間の交流を続けていく方針で、今後はこうしたアンダー世代での日越サッカー交流を通して様々な化学変化が起きるのではないかと期待されている。
前述のような活動を通して、日本人選手やJクラブの実力が認められれば、当然、ベトナムプロリーグ(Vリーグ)で日本人選手を獲得してみようという動きにも繋がる。
ベトナムの1部リーグでは外国人枠が僅かに2枠しかなく、2部以下にいたっては、外国人選手の登録自体が禁止されている。さらに、Vリーグでは大柄のアフリカ系選手が好まれるため、フィジカルで劣る日本人選手にとっては非常に狭き門。そんなベトナムで今年大活躍した日本人選手がいる。元横浜FCの井手口正昭だ。
井手口正昭は今年、提携関係にある横浜FCから完全移籍でHAGLに加入。弟は、弱冠20歳で日本代表に招集されたガンバ大阪所属の井手口陽介。ポジションも同じボランチだ。当初は、背が低い日本人がベトナムで助っ人として活躍できるのかと疑問視されていたが、豊富な運動量を武器に、瞬く間にチームの中心選手となった。チームは今年も14チーム中12位とパッとしない成績だったが、中盤でハードワークする井手口の存在がなければ、残留できたかどうかも怪しいものだ。