大阪環状線「45年ぶり」の新造車・323系デビュー!「改造プロジェクト」で西の大動脈はどう変わる?

103系を模したシンボリックな駅ビルが新設された玉造駅。 ビル内には「電車が見える保育園」も入居する

 例えば、桃谷駅などでは、森ノ宮駅と同様に高架下を利用した商業施設の開発が行われ、普段は大阪環状線を利用していない駅周辺住民にとっても便利な場に生まれ変わったほか、玉造駅では103系電車を模した形のシンボリックな駅ビル「ビエラ玉造」が誕生。また、寺田町駅では、一連の改良工事中に70年ほど前のものと思われる駅名標が見つかり、駅のシンボルとして修復・保存されたことも話題となった。

寺田町駅で改良工事の際に見つかった古い駅名標。 これまでは比較的地味な存在の駅であったが、「駅名標の発見」後は記念撮影する人も時折見られる有名スポットとなった

 さらに、各駅でシンボルフラワーを定めたり、新たに発車メロディを導入するなど、機能面での充実(バリアフリー化、トイレ改修、商業施設の充実)・案内表示類の統一を行いつつ、駅ごとの「個性」を活かす取り組みも行われている。

新たに導入された各駅共通の駅名標デザイン。 駅名標の背景部には各駅で異なった意匠が用いられており、この京橋駅では立地する城東区の花である「コスモス」と、駅近くの「大阪ビジネスパークのビル群」などがあしらわれた。 京橋駅などでは地形・線形の制約上大きな改良工事はまだ行われていないものの、こうした表記類の更新は殆どの駅で実施済みだ

 大きな「変化」を印象付けた「大阪ステーションシティ」の誕生から早5年。かつては古くさい印象の強かった大阪環状線も劇的な変化を遂げつつある。  JR西日本では、新型車両323系の増備と並行して、今後も「大阪環状線改造プロジェクト」に基づく改良工事に取り組んでいく方針であるという。  USJ人気や真田丸ブームの影響もあり、大阪環状線を利用する観光客は増加傾向にある。大阪では近い将来、万国博覧会を再誘致する構想も動いており、開催が決定した暁には、いま以上に多くの観光客が世界中から押し寄せることは間違いない。そうしたなかで「乗ってみたくなる路線」「行きたくなる駅」として大きく生まれ変わりつつある大阪環状線の今後にも大いに期待したい。

「変わる大阪のJR」を印象づけるシンボリックな存在となった大阪駅・大阪ステーションシティのコンコース。 「最初は必ず迷う」「ダンジョン」(迷宮)とも言われる大阪駅であるが、現在は案内表示の充実、連絡通路の延伸などによる改良も進みつつある

<取材・文・撮影/都市商業研究所都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken」 ※都商研ニュースでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中 ・クリスピークリームドーナツ新宿サザンテラス店、1月閉店-閉店続くクリスピークリーム、日本1号店も京橋エドグラン、11月25日開業-明治屋京橋ビルもリニューアル中目黒高架下、11月22日開業-蔦屋書店など28店舗が集う“高架下商店街”
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