「残業するな」「時短をしろ」という改革は逆に負担になる!【シリーズ雇われない生き方】

「経済成長がない」ことを前提とした社会設計に

日本財団「全国初 自殺意識大規模調査」より

 何の根拠もない「右肩上がり」「前年対比アップ」「経済成長至上主義」。根拠がなければ、現場は「精神論」だけで目標を目指さねばならない。「気合があれば、解決できる」という時代錯誤な言葉が虚しく従業員を虐げてゆく。それが可能だったのは、1980年代の右肩上がりが可能だった時代までだ。  電通の鬼十則には「 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。」と精神論が指針とされていた。高橋まつりさんはその社訓通り、死ぬまで働いた。彼女の部署は1年で14人から6人に減っていたのに、担当企業は増えていた。国の過労死白書には、残業が必要になる理由は人員不足が最多とある。人手不足を効率化や生産性向上で補うには限界がある。  政府はGDP600兆円を掲げ(現在500兆円強)、「1億総活躍社会」をスローガンにする。安倍首相が議長を務める産業競争力会議の「日本再興戦略2014年版~未来への挑戦」という文書には、「日本の稼ぐ力を取り戻すために、経営者をはじめとする国民一人一人が『活力ある日本の復活』に向けて、新陳代謝の促進とイノベーションに立ち向かう『挑戦する心』を取り戻し……」と記されている。  日本にかつてあった「稼ぐ力」「活力」「挑戦する心」が失われたので、それを取り戻さねばならないという。経済成長できない理由がそれだとしたら、単なる精神論にしか思えない。もう経済成長はできないし、根拠なく経済成長を求めるから様々な問題が生まれる。「経済成長がない」ということを前提とした社会制度設計に作り直す時代に来ている。
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