主要産業が銃密造から牛肉麺に!中国・化隆県の浄化をもたらした“ラーメノミクス”

“密造銃でライバル店を襲撃”という未来も?

 話は冒頭の騒動に戻る。  映画「ゴッドファーザー」で知られるアメリカのシチリアマフィアも、元々はイタリア系移民の互助・自衛組織としての面があったといわれる。中国においても地方出身でありイスラム教徒で、しかも少数民族でもある彼らはいわば「国内移民」だ。自分たちの権利を守るためには団結し、時には実力を持って抵抗する必要があるのだろう。今回はそれが行き過ぎたことが問題の発端だが、事件が注目された背景には、都市部における少数民族に対する行き過ぎた優遇政策への反発など、複雑な社会事情も垣間見える。  ところで、90年代後半に「青龍刀事件」などで新宿歌舞伎町を震え上がらせた中国マフィアをご記憶だろうか。彼らもまた元々は日本という異国の地に来た移民だった。  しかし移民の数が増え、また経済全体が低調になり収入が思うように伸びなくなった時、限られたパイをめぐって移民同士で、また日本人やくざとも対立し、抗争が引き起こされ血が流された。  今回の事件からも見えるように、店の数は既に飽和状態にあることは確かだ。また地元警察の責任者によると、08,09年とゼロだった摘発数が2010年に7件とわずかながら復活したのは、「景気の悪化によってラーメン屋を閉店せざるを得なくなった人々が、『元の仕事』に戻ってきた」ことが原因だという。  化隆県と蘭州ラーメンが将来どのような道を歩むのか誰にも予想はできないが、この先中国経済がさらに悪化し「実は裏メニューで密造拳銃を売っていた」「地元名産の拳銃を使ってライバル店を襲撃」という報道を目にする日が来ないことを祈りたい。 <取材・文/林 毅>
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