被害発生から2か月経過後の中国による北朝鮮洪水被害支援にまつわる、ある「噂」

 また、こんな話も囁かれている。実は、中国からの支援は10月中旬くらいから非公式に行われていたというのだ。 「丹東から支援物質を積んでいることを示す垂れ幕を掲げたトラックが、中朝友誼橋を毎日のように通過しています。10月中旬意向、台数が目立つようになりました」(丹東の中朝貿易関係者)  しかし、だとすると疑問になってくるのは、丹東から被災地は遠すぎるということだ。丹東から新義州へ入り鴨緑江にそって被災地域へ行く幹線路がないため遠回りを余儀なくされる。中朝友誼橋は、完成してから73年以上経過しているため通過する車両を10トンまでに制限しているが、10トン級トラックが走れる道は新義州からだと首都平壌まで行き、そこから日本海側の元山を経由して行く必要がある。

図們と南陽を結ぶ橋を通過するトラック(赤線が国境線)。このルートならば平壌経由より早く届けられるはずだが……

 支援物資を確実に早く届けるなら大きな被害を出した南陽へ隣接する図們から入れるのが最短であり、中国はすでに各都市を結ぶ高速道路網を完成させているので、丹東からだと吉林経由で10時間ほどで到着できる。平壌経由よりどう考えても早い。  「支援トラックの中身は誰も分かっておらず、仲間内では食料品以外にも宝飾品なども含まれていると噂になっています。しかも、多くのトラックは平壌止まりで被災地域まで行かず実質的に単なる交易になっているようです」(前出の貿易関係者)  2か月遅れの決定ということで、さまざまな憶測を呼んでいる中国による北朝鮮洪水被害への支援。噂のような単なる密貿易でなく、洪水被害にあったところに支援物資がきちんと届くことを願わずにいられない。 <取材・文/中野鷹>
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID@you_nakano2017
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