「なぜ“職場”のハラスメントが減らないのか?」電通事件で現役産業医が考えた3つの課題

上司にエアガンで撃たれ、唾をかけられる

 つい先日も、仙台市の佐川急便にて22歳の男性社員の自殺の原因が上司のパワハラによるうつ病のためと、仙台地裁が労災を認定しました。自殺した男性社員は上司から足元に向けてエアガンを撃たれたり、唾をかけられたりしたそうです(:参照)  今回の電通の事件に関して先日、亡くなられた社員ご遺族の弁護士より、若手社員が亡くなる直前の2か月間にSNSなどで友人や母親らに発信していたメッセージが公開されました。 ⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=115333  2つの会社の上司自身も同じような指導を受けてきたかは知りません(おそらく受けていない)。しかし、自分達の行為が、部下にこのような気持ちを引き起すという考えすらなかったのだと思います。ましてそのことが、自殺につながることまでは考えもつかなかったでしょう。  たとえ、自殺まで想像できなくても、前途有望な若者に暗い影響を及ぼしてしまうだろうという想像力の欠如、相手の立場や気持ちを察することができないという想像力不足は、悔やんでも悔やみきれません。  このような職場のパワハラの問題は、「思いやり」や「道徳心」の欠如として片付けられないほど、その根はもっと深いと私は考えます。それが2つ目の理由です。
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パワハラは個人の「道徳心」の問題ではない!
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