「特にアニメーターは1カットレイアウトと原画でギャラが数千円と単価が安い。なので、仕事を掛け持ちすることで、手空きの時間をつくらないようにするんです。これもスケジュールが読めなくなる原因ですね。
また、アニメーターにはフリーランスが多く、業界として若手の養成がうまく機能していない。そのため、基本すらできていないアニメーターが増えているのですが、仕事量は多く、またスケジュールもないので、仕事の依頼があることはあるんです。
ただ、結果としてレベルの低い原画があがってきて、そのしわ寄せを作画監督が背負うことになるんです。作画監督の修正がなければ、今のアニメのクオリティは成り立たちませんよ。
また、現在では1作品に20名程度のアニメーターが参加しますが、その成果物の回収は制作進行の担当者が行います。先ほども申し上げた通り、アニメーターにはフリーランスが多いため、朝方がいたり、夜型がいたり、なかにはスケジュールを守らない人までいて、やり方もまちまち。大量の人数のアニメーターをフォローして、回収までするので、制作の負担が極端に増えてしまっている。スケジュールの遅れをごく一部の人間の頑張りによってなんとか取り返しているがゆえにスケジュールの崩壊が起きやすくなっているといえます」