田舎に使い勝手のいい若者が来ると、「アレ手伝ってくれコレ手伝ってくれ」と各家の年寄りが頼んでくるという。それを全部聞いていたら、自分の時間が失われるのは想像に難くないが、安易に断るわけにはいかない。
「断れば、あっという間に立場が悪くなりますよ。『都会者は偉そう、威張っている』とか言われようものなら地域全体に嫌われてしまう」。そんな恐れもあり、断れなくなる人もいる。Gさんは地域支援員という名目だったが、村のお年寄りの使い走りが主な仕事。しかし、さすがに限界を感じ少しずつ断っていくと……
「気づいたら、その部落(田舎では集落をそう呼ぶ)のほとんどの人が口を聞いてくれなくなっていました。なので、毎日海を見に行ったり、山奥をドライブしたりしていました。いい身分?いやいやあんな目に会うのはもうこりごりです」
Gさんは1年で退職して別の地域に移住しなおしたそうだ。