これに対し、米国は民主的に選ばれたムルシー大統領を軍事クーデターによって失脚させたとして、シシ大統領への支援を控え、軍事支援金の借款を凍結し、ヘリコプターと戦闘機の引き渡しも一時的に中断した。シシ大統領とオバマ政権のぎくしゃくした関係が続いていたその隙間の2013年11月に、プーチン大統領はラブロフ外相とショイグ国防相をエジプトに送り、ナセル時代に存在していた両国の関係を復活させるべく、シシ大統領の説得に努めた。そして、2014年2月には、シシ大統領がロシアを訪問して兵器を購入したのである。2015年2月にはプーチン大統領がエジプトへの訪問を実現させた。ここに、エジプトとロシアの関係が復活したのである。それは裏を返して見れば、オバマ外交の大失敗であったといえる。
そして、ロシアはこの関係を利用して<エジプトのシディ・バラニに軍事基地を建設する>交渉を現在進めているという。<2019年にはロシア空軍などが駐留して基地が機能する>ようになる予定だとしている。(参照:『
HispanTV』)
ロシアはシリアのタルトゥースそしてエジプトのシディ・バラニとの二つの基地をベースにして、地中海そして紅海に繋がる地域をコントロール下に置く計画なのである。
もちろん、ここにも障壁はある。エジプトのロシアへの急接近を望まないサウジアラビアがエジプトへの原油の供給を中断したのである。(参照:『
HispanTV』)
サウジのこの決断の決定的な動機となったのは10月8日の国連安保理でシリアの都市アレポの即時停戦に関して、サダト政権をあくまで維持させようとするロシアの姿勢にエジプトが同調したからだ憶測されている。サウジは如何なることをしても、シリアのアサド政権は打倒せねばならないと考えているのだ。