ラオスで影響力を拡大する中国系企業 国営の携帯電話事業者を買収

ETLが「身売り」した理由

ビエンチャンに本社を構えるETL

 ETLの前身はラオス政府が設立したEnterprise of Posts and Telecommunications Lao(EPTL)で、1995年にEPTLの組織再編で郵便事業を管轄するEnterprise of Posts Lao(EPL)と電気通信事業を管轄するEnterprise of Telecommunications Lao(旧ETL)に分離した。旧ETLは1996年にLao Shinawatra Telecom(LST)との合併によりLao Telecommunications(LTC)を設立したが、2000年にLTCの一部事業を分離して現在のETLが設立された。  ETLは2002年に第2世代移動通信システム(2G)のGSM方式で携帯電話サービスを開始し、2011年に第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式を導入した。しかし、高速なデータ通信サービスを実現する第4世代移動通信システム(4G)は導入しておらず、ラオスの携帯電話市場で加入数シェアはStar TelecomとLTCに続く3位に沈んでいる。上位2社はそれぞれ外国企業から大規模な投資を受けて、4GとしてLTE方式を導入しており、通信品質を大幅に向上したことで顧客からの支持を高めている。VimpelCom LaoもLTE方式を試験中であり、商用化に向けて準備を進めている。

ETLは看板で3Gをアピールするが、競合他社が4Gを導入した状況で見劣りする

 この状況でETLは競争力を確保するために4Gの導入は避けられない状況であるが、ラオス政府の国家財政は余裕があるわけでもなく、そこで外国企業から出資を受け入れることに決めた。間接的に資本参加する京信通信系統控股は通信設備に関連した事業が専門で、4Gを導入するための通信設備や技術的知見をETLに提供する方針を示しており、ETLが4Gとして世界的に主流のLTE方式を早期に導入できるよう準備を加速することは確実と考えている。
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中国系企業はなぜラオスに参入するのか?
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