それは、私の演習参加者の演習結果からは、モチベーションエリアは、所属組織によって大きく異なるが、職位や職務によっては相違がみられないということだ。特に、職務によって相違がないということに大きな危惧を持っている。
銀行の営業担当も、事務担当も農耕型だ。外資系IT企業からも、さまざまな職務の方が参加したが、個人差はあるにせよ、狩猟型に偏っている。新規事業担当者や新規営業担当者は、狩猟型が多くなることを、銀行であっても、経営者は意図しているのではないか。
外資系IT企業であっても、調整部門は農耕型の占率が高まるのではないか。職務に合致したモチベーションエリアの人材が枯渇している状況に直面しているのではないか。採用段階では、有していた他のモチベーションエリアが、組織のマジョリティのモチベーションエリアに影響を受けて標準化されてしまったのではないか。企業のビジネスモデルによって、狩猟型か農耕型かは決まってこよう。しかし、職務毎に相違なく画一的なモチベーションエリアを示すようになってしまうことは、企業の脆弱性を露呈しているように思えてならない。
※「モチベーションエリアを見極める」スキルは、山口博著『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル28で、セルフトレーニングできます。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第18回】
<文/山口博>
※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身