PKO(Peacekeeping Operations=平和維持活動)とは、「国連の指揮下で紛争地での停戦や軍の撤退の監視等を行い、紛争当事者による対話を通じた紛争解決の支援を目的とする活動」とされる。しかし「1992年にPKO協力法が制定された当時とは、昨今のPKOの活動実態が大きく変わっている」と伊勢崎氏は言う。
「当初、PKOは派遣国での内政干渉を避け、深刻な人道危機が起きても対応できませんでした。転機となったのは1994年のルワンダ内戦で起きた大虐殺です。フツ族の過激派がツチ族を虐殺し、その犠牲者は100万人に及んだと言われています。このとき、PKO部隊は一般市民が殺されているのに何もできなかった。
その反省を経ての一大変革が、1999年に国連事務総長の名で発布された告知です。PKO部隊は、民間人保護のためにより積極的に武力介入し、武力を行使するようになりました。
新たに編成された『介入旅団』は、必要とあらば先制攻撃も行います。実際、コンゴ民主共和国では介入旅団が現地武装勢力に攻撃をしかけ、制圧しました」(伊勢崎氏)