中国の旅行社に圧力まで掛けた韓国政府の「中国訪朝ツアー客激減作戦」が水泡に帰していた!

7月以降、再び訪朝中国観光客が増加!

多くの新義州日帰りツアーはワゴン車や小型バスで鉄橋を渡り入国する

 7月9日、中国は中国人向け北朝鮮ビザなし渡航を全面解禁をしたのだ。これによりIDカードがあればパスポートがなくても当日申込みで丹東対岸の新義州など数か所へ日帰り訪朝ができるようになったのだ。 『中国網』によれば、ビザなし渡航解禁後1日1000人の中国人が新義州日帰り観光へ参加していると報じている。  中国人のビザなし訪朝は、本来2013年から実施される予定だったが、北の核実験により一部のみの試験実施となっていたのが全面解禁となった。その背景には、韓国への配備が決定し中国が猛烈に反発している「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」により中韓関係が急速に悪化し、中朝関係に復縁の動きがあることも無関係ではあるまい。  9月上旬に新義州日帰り観光を実施している丹東の旅行会社へ取材すると、現在も1日数百人くらいが日帰り観光しており費用は350元(約5300円)。私用のパスポートを持てない一部の国家公務員に好評だという。この旅行会社へは韓国政府から連絡はなかったそうだが、韓国ツアー希望者がいれば、グループ企業へ委託しているという。結果的に分業化のような状態になっていることが分かる。  北朝鮮は、9月9日に5回目の核実験を実施したが、以降も観光は継続されている。もはや中国は核実験容認させ匂わせている。  それにしても5か月に及ぶ韓国政府による中国人訪朝者激減作戦は一体何だったのだろうか。

中央の建物は将来的に丹東と新義州とを結ぶバスセンターになる予定(丹東駅前)

<取材・文・撮影/中野鷹>
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID@you_nakano2017
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