「韓国が強気に中国の旅行社へ圧力をかけられる理由は、中国人向け韓国ツアーの実態も関係しています。毎年、韓国入国後に逃げ出して行方不明になる中国人が数百人単位で存在し、脱走者が多い旅行社はライセンス取り消しなどのペナルティが課せられています。昨年、大連のX社は1社だけで20人の脱走者を出し、ライセンスが取り消されています。韓国は、「おたくは昨年6人脱走者を出したよね?本来であれば罰金を科すところだけど、北朝鮮ツアーを中止すれば、見逃してあげるよ」的な交換条件を突きつけています」(大連の旅行会社代表)
もっとも、中国の旅行社もしたたかなもので、「表面上、韓国の要求を飲み込みましたが、北朝鮮ツアー希望者がいれば、委託提携先へ依頼して実施しているので実質、南北両方のツアー扱っているのと同じです」(丹東の旅行社担当者)といったものだった。
中朝を結ぶ中朝友誼橋近くには中国人向けの施設が完成している
そのため、韓国は、政府主導の対北政策で中国人訪朝者が減ったとことさら強調しているが、中国人訪朝者が減ったのは、今年1月の核実験以降、中国での北朝鮮に対する心象悪化の方が要因として大きかったと中朝関係筋は語る。
「この数年、中朝両政府はかつてないほど緊張状態にあり、1月の核実験の際も中国のテレビや新聞で大きく批判的に取り上げ、中国政府が批判していることも繰り返し流れた結果、中国人の中で『北朝鮮=恐い』が成立し、結果、中国人訪朝者が減ったのだと思われます」(同上)
結果的に韓国が目指した中国人訪朝者激減作戦は功を奏したかのように思われたが、7月に状況は一変する。