いまだ根強い「STAP細胞が本当はあった!」説がやっぱりおかしいこれだけの理由

ドイツの研究グループは「STAP細胞が成功した」とは主張していない

 さらに、小保方氏らが作製したSTAP細胞は、さまざまな種類の細胞になれる(分化する)能力をもつことを示していた。だがドイツの研究グループは、刺激を与えた細胞が他の種類の細胞に分化できるかどうかを、まったく検証していない。要するに、ドイツの研究グループの成果は、上述した「STAP細胞の作製に成功した」ことを示すための条件を満たしていない。そもそも、彼ら自身も、STAP細胞の作製に成功したことを主張しているわけではない。  確信犯なのか無知なのかは分からないが、一部のメディアによって事実が捻じ曲げられた結果として、STAP細胞に関する誤った言説が流布されているのである。メディアが氾濫する時代だからこそ、嘘に振り回されないような科学リテラシーを身につけることが大事になってくるだろう。 <文・堀川大樹> クマムシ博士。1978年東京都生まれ。2001年からクマムシの研究を続けている。北海道大学で博士号を取得後、NASA宇宙生物学研究所やパリ第5大学を経て、慶応義塾大学先端生命科学研究所特任講師。クマムシ研究の傍ら、オンラインサロン「クマムシ博士のクマムシ研究所」の運営やクマムシキャラクター「クマムシさん」のプロデュースをしている。著書に『クマムシ博士の「最強生物」学講座』(新潮社)と『クマムシ研究日誌』(東海大学出版会)。ブログ「むしブロ」、有料メールマガジン「むしマガ」も運営。
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あの日

小保方 晴子手記