だが、革命的と言われたこのSTAP細胞は、主にネット上で、論文のデータや画像の不自然さが次々と指摘されることになる。小保方氏はこれらの指摘に対し、うっかりミスだったと釈明。そして、STAP細胞はたしかに存在するし、「作製に200回以上成功した」と明言。だが、論文には捏造と改ざんが加えられていることが最終的に認定され、センセーショナルな発表から5カ月後、ついに論文は取り下げられた。
つまり、STAP細胞の存在の科学的根拠がなくなった。だが、理研は小保方氏にSTAP細胞作製の追試を指示。だが結局、小保方氏はSTAP細胞の作製に成功することなく、検証実験は終了。ただし小保方氏は、自著『
あの日』の中で「実は検証実験でSTAP細胞の作製に成功していた」と書いている。
生命科学の専門家の間で「STAP細胞の存在の真偽」についてはまったく話題にならない。それは、論文が取り下げられた時点で研究の実体がなくなったとみなされるからだ。その一方で、現在、小保方氏の支持者を中心に、STAP細胞の存在を信じる非専門家の人々は、少なくない。
専門家と非専門家との間で、なぜ、このような乖離が生じているのだろうか。それは、一部メディアの報道によるところが大きい。科学が関わるニュースを、適切に伝えていないからだ。