小池都知事の打ち出した「20時一斉消灯」は根本解決にならない!

「ルールとは一律なものだ」「例外を決め始めたら、むしろ混乱する」……という意見もあるだろう。なにも、複雑怪奇なルールを設定すべきだ、幾通りもの例外規定を設けるべきだと言っているのではない。 「必要な残業は上司が指示したり許可をしたりする」、「不必要な残業は上司が責任をもってさせない」という、ごく当たり前のことを、マネジメントが実行すればよいだけの話である。一人一人のモチベーションエリアに応じたマネジメントやコミュニケーションができれば、なおチーム全体の士気は上がる。  マネジメントができていないことを、制度でカバーしようとすること自体が、本末転倒で、ますますマネジメントは弱体化し、制度頼みのマネジメントが横行することになってしまう。それが出来ていないから、一斉消灯という、小池知事の言うところの「ショック療法」を取らざるを得ないという考え方だと推察するが、ショック療法をいくら実施しても、問題の根本原因の解決にはならないことは目に見えている。  今回の東京都の例では、報道されていないだけで、マネジメントの強化施策は、着々と実行されているに違いない。「ショック療法」という用語があえて使用されているのは、その意味だとも思える。一斉消灯の強制運用のみが独り歩きして、肝心のマネジメントの強化がおろそかになってはならないのではないだろうか。 ※「モチベーションエリアに応じたマネジメント」スキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル29で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第16回】 <文/山口博> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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