大阪の珍味メーカーは世界進出の足がかりとしてなぜタイを選んだのか?

タイに根付く企業になると同時に世界も狙う

 工場のデザインは富士山のイメージなどを取り入れた奇抜な外観を持ちつつ、2階にはカフェ、工場内には見学通路もある。設計段階から田中社長自身が積極的に関わってきた。 「ガラス張りにして小学生の見学なども受け入れることができます。働いている人のモチベーションも上がりますし、そうなればタイ人職人も育ちます。ラヨンの工場はタイとタイ人に感謝しながら地域の人々を雇っていくつもりです」  タイの食品関連事業で日本よりある意味進んでいるのが、イスラム教徒たちの買いものの基準のひとつになるハラル認証だ。イカは一部の宗派には受け入れられていないようだが、タイ国内で食品を売る場合にはハラルは考慮しないといけない。 「イカ自体が外国人には苦手なところがありますが、だからこそおいしいということを植え付けていかないといけないと思っています」  工場が稼動すればタイ国内の価格が下がるし、商品バリエーションが増える。また、世界へも安く供給できるようになることにも期待される。マルエスが世界へ羽ばたく計画は一歩一歩、進んでいるところだ。 <取材・文/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM) 取材協力/マルエス
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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