大阪の珍味メーカーは世界進出の足がかりとしてなぜタイを選んだのか?

地元タイ人からも期待される

 実はこのマルエスのタイ工場操業は地元民からも多いに期待されている。場所はバンコクからおよそ200キロほど、タイ東部の漁村バーンペー付近になる。元々マルエスの仕入れ品のひとつがこの漁港で水揚げされるイカだった。 「バーンペー港の近くに工場を作るのは原料供給地が近い方がいいだろうと考えてです。来年5月に工場完成予定で、8月ごろからの稼働を目指しています。18000坪で、敷地の一部に建屋を造り、軌道に乗り次第3段階で増設できるイメージでいます。日本の工場で2500坪、社員80人にパートさん200人の規模なので、タイだとフル稼動すれば1000人は雇い入れることができると見ています」  タイは全体で約6900万人の人口だが、仕事はバンコクに集中しており、多くの地方在住者がバンコクへと出稼ぎにくる。しかし、地方出身のタイ人のほとんどは、日本人の「畳の上で死にたい」という観念に似たものを持っており、できれば地元で暮らしたいと考えている。タイ東北地方の玄関口であるナコンラチャシマー県もこれまでは出稼ぎが多かったが、近年は日本の有名プリンタメーカーや欧米のハードディスクメーカーが巨大工場を県内に出したため、若者はバンコクでなくそこに就職するようになっている。東部の漁業しかなかったような町にマルエスの工場ができれば、確実に町の雰囲気や町人の意識も変わってくる。マルエスの進出はこういった社会貢献的な意味合いも非常に強い。 「すでにタイ投資委員会にも書類提出は済んでいますし、建設許可も受けています。あとはラヨン県の最終許可を取るだけです。県知事にはすでにお目にかかっており、ぜひとは言われています」
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タイに根付く企業になると同時に世界も狙う
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