Brexitの次はItalexit!? 囁かれるイタリアのEU離脱

無視できなくなったポピュリスト政党

 M5Sの動きが無視できなくなっているのは、今年7月の世論調査で政府与党の民主党の支持率を上回ったことが背景にある。イタリアの「Corriere della Sera紙」によると、同党の支持率は<4月の28.9%から30.6%>に上昇し、一方の民主党は同月<31.1%から29.8%>に下がったのである。しかも、6月に実施された地方選挙で、五つの星はローマ市やトリノ市を含め、19の都市で勝利して、市長のポスト獲得している。  M5Sが支持率を上げているのはイタリアの経済成長が2008年頃から後退が続いていることが要因のひとつである。2000年からプラス成長したのは僅かに3.6%であり、より深刻なのは、2025年まで順調な経済成長は望めないとIMFが予測していることである。  イタリアは特に輸出立国として顕著な国であった。かつてイタリアは輸出価格を低く抑えて輸出競争力をつけていた。そして、その褒美として政府は輸出奨励金を輸出業者に付与して低価格で輸出した分を補填していた。それが、ユーロという共同通貨を利用することによって出来なくなり競争力を失ったのだ。M5Sはユーロ圏から離脱して通貨リラに戻すことを政策のひとつとしている。
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増大する国民の不満の背景
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