藻谷浩介が現場を歩く「里山資本主義」――八戸市の大成功事例

アベノミクスの恩恵は、都市部や大企業が中心で、地方や中小企業にはほとんどまわってきていない。特に、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の経済的復興はまだこれからだ。HBOは、エコノミスト・藻谷浩介氏の講演ツアーに同行して東北復興の“現場”を歩き、地域の特性を活かした「持続可能な経済」について考えた!

【青森】八戸市の魅力をフル活用!住民同士の連携で地域振興

漁港

漁港で朝市の説明をする町田氏(左)と藻谷氏(右)。

 地方経済活性化のための「里山資本主義」を提唱する藻谷浩介氏が「大成功事例」と高く評価しているのが、青森県八戸市の地域振興だ。 「町田直子氏(NPO法人『ACTY』代表)らが中心となって、地元食材や自然景観、飲み屋街、漁港や朝市など、地元の魅力をフル活用して、地域振興につなげているんです」(藻谷氏)  藻谷氏が特に絶賛するのが、日本一の規模といわれる八戸港館鼻岸壁「みなと朝市」だ。朝3時前から300以上の店が岸壁前の広場にずらりと並ぶ。地元産の魚介類や農産物などが売られ、屋台でさまざまな地元名物を食べられる。3~12月の日曜夜明け~9時に開催され、年間約60万人が訪れるという。出店者の年間総売り上げは約6億円、経済波及効果は16億円、新規雇用者150人と推計されている。 「最初は『あんな辺鄙な場所でやっても人は来ない』という声もあったのですが、始めてみたら、どんどん店の数が増えていきました」(町田氏)  地元住民でつくる「湊日曜朝市会」が自主運営管理を行い、仮設トイレ設置やゴミ分別、場内放送などを行う。スタッフの人件費などは、出店者から1区画1万円を徴収して捻出する。
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朝市と飲み屋街の相乗効果で「滞在型」の観光客が増える
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里山資本主義

課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!