カッピングは、東洋でも西洋でも行なわれてきた伝統的な身体治療方法である。数千年という古い歴史をもつ民間療法と言われている。ガラス容器にアルコール類を入れて燃やして皮膚にあてると吸いつくので、その身体部分が鬱血状態になり、それが治療に役立つと信じられている。
映画でも、『ベストキッド』(原題 The Karate Kid)の2010年のリメイク版(ウィル・スミスの息子のジェイデン・スミスがドレ役で主演)で、ミスター・ハン役のジャッキー・チェンがケガをしたドレをカッピングで治療するシーンがある。
また、『ゴッドファーザーII』(アル・パチーノ主演)では、若き日のドン・ビト(ロバート・デ・ニーロ)の回想シーンの中で次男のフレド(赤ん坊)が肺炎になり吸い玉を胸部に付けて治療を行うシーンがある。
カッピングは、血流、循環機能の改善などに特に効果があるとされている。有害毒物を皮膚面から排泄し、表皮の再生力と抵抗力を増すと考えられている。また、皮膚に与えられる陰圧によって、毛細血管の刺激に反応し筋肉内の血管が拡張し、鬱血や充血を取り去り、リンパの循環をよくするとされている。
その説の信ぴょう性は別として、アントニオ猪木氏、フェルプス、室伏氏は、カッピングをやってみて、疲労が抜けるという効果を本人は感じてはいたのかもしれない。
しかし、一方で、カッピングに効果が無いという医師の見解もある。カッピングによる吸引は、毛細血管を破壊する。カッピングを同じ部位に繰り返し施すと、皮膚が破壊され、危険な感染症につながる恐れがあるという。(参照『
フォーブス』)
日本でも整骨院や鍼灸院などで施術しているところは多く、都内には、医師によるカッピングを受けられるクリニックもある。
科学的・医学的根拠は薄弱なれど、トップアスリートも取り入れた民間療法が気になる、、、という人は、試す前に上記のようなリスクも考慮の上でトライしてもらいたい。
<文/丹羽唯一朗>