世界シェア90%超! 手書き入力技術のトップランナー

ハリウッドのクリエイターに支持

「当時、米国やヨーロッパでも販売・マーケティング活動を行っていたのですが、今の社長(山田正彦氏)が米国に駐在していたんですね。本拠地は、映画産業やIT産業の中心地である西海岸です。そこにはグラッフィックコンテンツを扱う企業やクリエイターたちの濃密なネットワークもあったおかげで、ワコムの評判が広がっていったようです。そこで、ディズニーがデジタルで映画『美女と野獣』を製作する際にワコムのペンタブレットを使ってみたいという話があり、導入に至ったのです。この時、一流のクリエイターたちからのフィードバックも多数あり、よりクオリティを高めるための礎が築かれました。また同時期にナイキのデザイン部門の現場にも同社のペンタブレットが導入されています」  これをきっかけに知名度や信頼を得たのか、1995年頃から急激にシェアが上がっていった。その背景には業界内での口コミも作用していたようだ。 「クリエイターは作品の質を高めるために、より良いデバイス、より新しい技術に敏感です。彼らの情報交換の中で、ワコムのペンタブレットが話題に登るわけです。あるいは、デジタルでイラストレーションを始める人に、同社のペンタブレットを薦める。その連鎖があったようですね。現在、ワコムはユーザーのための作品発表サイトを用意したり、若手クリエーターの育成などを後押ししています。クリエーターの方々から、製品を使った感想をダイレクトにもらうことができるので、それに対して改善を図ることで製品の質を向上させています。その好循環が出来上がっているのは強みでしょうね」
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プロユースから一般ユーザーへの広がりも
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