交渉上手なビジネスマンは相手の微表情をつねに察知している

表情識別能力と情報の非対称性がカギ

 以上のように、相手の表情変化を観ながらダイナミックに交渉プロセスを変化させていくことができるのです。もうお気づきかと思われますが、ここでご紹介した交渉スキルに必要なものは、表情識別能力と情報の非対称性という条件です。買い手にとってベールに包まれた情報を、買い手の表情変化から情報の出し入れを調整し、交渉を治めていく方法です。買い手が知っている・知らない事前情報を常に意識し、買い手の表情変化からその情報を巧みに出し入れすることが交渉成功への必要条件となるでしょう。 ※1実話を基に構成していますが、個人や企業名が特定されないように話を変更・脚色しています。 ※2本稿で使用した微表情サンプル画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。 参考文献 Elfenbein, H. A., Foo, M. D., White, J. B., Tan, H. H, & Aik, V. C. (2007). Reading your counterpart: The benefit of emotion recognition accuracy for effectiveness in negotiation. Journal of Nonverbal Behavior, 31, 205-223. 〈文/清水建二・写真/写真素材ぱくたそ〉 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。また、政治家や芸能人の微表情を読んで心理分析するなど、メディア出演の実績も多数ある。著書に『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。 【ビジネスで活用する微表情学第7回】
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微表情を見抜く技術

無意識の感情の表われ「微表情」を読み取ることで、誰でもコミュニケーションの達人になれる!