今回、たまたま英国企業を買ったことを指しているのではない。
筆者は昨年3か月間、ニューヨークのベンチャー業界を現地でリサーチしていた。地元の有力なスタートアップには必ずソフトバンクキャピタルという、ニューヨークを拠点とするソフトバンクのベンチャー投資ファンドが初期から投資していた。
運良く、そのメンバーの1人にインタビューする機会があったのだが、そのときにソフトバンクキャピタルのホームページをみて驚愕したことがある。日本人が一人もいないのだ。
別の機会に、インドネシアでスタートアップのリサーチをしていたときにもソフトバンクキャピタルの上海&インド支社の人材に出くわした。彼はハーバードを卒業後ゴールドマンサックスを経て、同社に参画したアメリカ人だ。性根からグローバル企業であるソフトバンクは、日本人を入れることに優位性がない領域において、無理して日本人に任せることをしない。
それはかつてGoogle社が経営層の経験がありこれから伸びる新興国インド出身というアローラを後継者に引き入れ、あっさり国内の後継者候補を捨てた経緯からも見て取れる。
拙著『
進め‼ 東大ブラック企業探偵団』でも、グローバル化をチャンスと捉えて拡大する企業のみがこれからも生き残る「ホワイト企業」だとした。だが、それを突き詰めたとき、これからグローバル化に成功する日本企業が出てくることはあっても、日本人の社員が生き残るとは限らないという事実が浮かび上がってくる。
<文/大熊将八 photo by
Kirakirameister via Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0>
おおくましょうはち○瀧本哲史ゼミに属する現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者