一つ具体例でご紹介しましょう。
セールスマンがお客様の新商品の紹介をしているシーンです。新商品のセールスポイントは5つ。限られた時間の中で全てのセールスポイントを言うべきか否か?
コミュニケーション上手なセールスマンは、セールスポイントを一つづつ紹介し、お客様の顔に嫌悪の微表情が浮かんだら、すぐさまお客様にとってそのセールスポイントが気にくわないものだと察し、そのセールスポイントに関してフォローを入れます。もしくは、興味・関心の微表情が浮かんだセールスポイントについて集中的に説明し、お客様の感情に沿った商品説明をします。
同じペース・同じ比重でセールスポイントを説明するのではなく、お客様の感情の向う先、興味の矛先に応じたセールストークが大切なのです。全てのセールスポイントを薄く説明するよりは、お客様が興味を示す2つか3つのポイントに絞って説明する方がずっと効率的です。もちろん、それには細やかな観察力、特に微表情検知力が強力なツールとなります。
<文・清水建二(しみずけんじ)>
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役
1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。また、政治家や有名人の微表情を読んで心理分析するなど、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社・7月22日発売予定)がある。
【ビジネスで活用する微表情学第6回】