ビジネストークで最適な「アイコンタクト」は何秒が適切?

実体験してはじめてわかる、アイコンタクトの適切な秒数

 その上で、適切なアイコンタクトの秒数を参加者に考えていただくと、「2、3秒」という結論になるのだ。そして、演習参加者を見渡して、「良い悪いではなく、顔の彫が深く、目鼻立ちがしっかりしていて、髪や眉が濃い人は、短めな方がよいでしょう。逆に、面差しが穏やかで、どちらかというとのっぺりしていて、髪や眉が薄めの人は、少し長めでも抵抗感を与えないかもしれませんね」と申し上げると、聞き手はなるほどと深くうなずく。そして、自撮りしながらの自己紹介とそれを自分で確認する演習を繰り返す。そうすると、自分にとっての適切なアイコンタクトの秒数が、他ならぬ自分で再現できるようになるのだ。  一生懸命話そうと思えば思うほど、聞き手をしっかりと見つめ続けがちになる。そして、姿勢も前のめりになる。決して言葉では伝えていなくても、そのようなアイコンタクトや姿勢が、押し付けがましさを伝えてしまい、この人の話やこの人自体から逃げようという心理を、聞き手に植え付けてしまうのだ。だから、アイコンタクトの秒数をコントロールするは、とても簡単なスキルであるけれども、聞き手を引き付けるためのとても大きなパワーをもったスキルなのだ。  もし、このような演習を行わないで、「アイコンタクトの適切な秒数は、私の演習結果をふまえると、2、3秒です。長すぎると、聞き手に圧迫感を与えて、相手を引き付けることができないことが心理学の学説としても裏付けされていますので、気を付けてください」と解説していただけでは、まさに馬耳東風、体で再現はできない。画像で紹介した三脚は、100円ショップで販売している2つのパーツを組み合わせることでセットできる。  以下のドリルではセルフトレーニングの仕方を紹介しているので、少しでもスキルを伸ばしたい人に活用いただければ幸いです。次回は、聞き手を引き付けるために、アイコンタクトの秒数と同じくらいのパワーを持つ、アイコンタクトのはずし方を紹介させていただく予定です。 ※「アイコンタクト」のスキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル1で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第10回】 ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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