シャープ、「7000人リストラ」でも危ない。経営再建できない深刻な問題とは?

シャープの人員削減で笑う、ある会社とは?

 ところで、シャープの人員削減を追い風としている企業をご存知だろうか。その会社の名は日本電産。オムロンや京セラなどと同じく京都に本社を構え、モーターなどBtoBの部品を作っているメーカーで、一般的な知名度は総合電機メーカーに劣るものの、2兆円超の時価総額はパナソニックと肩を並べる。  同社は本業を軸に、世界中の様々な部品メーカーを買収し、経営再建することで急速に業績を拡大してきた。  その再建のキモは、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という、創業者にして現社長の永守重信氏指導のもと、従業員の徹底的な意識改革が行われたことにある。リストラを一切行わない永守氏は、優秀でない人材や失敗した人材を育て上げ、同社を売上高1兆円の大企業へと導いた。  シャープに対しても、昨年以降、元社長や副社長といった経営層や部長クラス以下の数百人をすでに受け入れている。シャープは同社のお得意先の一つであり、引き抜きは絶対にしないと公言しているが、リストラや希望退職により、市場に出回った人材を手に入れる分にはモラル上の問題も少ない。当然、会社ごと買収するよりもはるかに安上がりだ。  シャープの人員削減は、鴻海・シャープの業績改善への効果は薄いが、シャープにいた人材を手に入れられる他社、そして何より新天地で活躍の機会が得られる元従業員にとってはメリットが大きくなりうる事態だと筆者は捉えている。 <文/大熊将八 photo by Otsu4 via Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0> おおくましょうはち○瀧本哲史ゼミに属する現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者
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進め!! 東大ブラック企業探偵団

ニッポンを救うホワイト企業はここだ!!