まずはシャープという会社の規模を改めて確認したい。同社の有価証券報告書に記載されているPL(損益計算書)によれば、’15年度の売上高(連結)は2兆4600億円となっている。
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国内大手電機メーカー6社の売上高
拙著『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』でも取り上げた、総合電機メーカー大手のパナソニックの7兆5500億円、東芝の5兆6700億円、ソニーの8兆1000億円、日立の10兆円の3分の1、あるいは4分の1にも満たない数値だ。
しかし、その一方で、シャープの4万3000人という従業員数は、パナソニック(25万人)の5分の1以下、日立(33万5000人)の7分の1にも満たない数値だ。
つまり、シャープは従業員一人あたりの売上高が他の電機メーカーに比べて大きい。別の言い方をすれば、人件費の割合が極端に低い企業といえるだろう。
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大手電機メーカー5社の連結従業員数
PL(損益計算書)をさらに読み解いていこう。
企業の「総売上」から「売上原価」を引いたものが、いわゆる「粗利」であり、そこから「販売費及び一般管理費(”販管費”と略され、人件費もここに含まれる)」を引いたものが「営業利益」だ。
つまり、売上原価と販管費の合計が売上高を下回っていれば黒字、上回っていれば赤字である。
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世界的電機メーカー7社の「売上原価」と「販売費率」
図示した企業のなかでは、シャープと東芝が赤字となっている。
とりわけシャープは売上高に占める売上原価の割合が99.6%と、極めて高く、構造的な赤字体質となっている。一方の販管費率は8.8%程度で、鴻海を除く他社の半分以下である。
ちなみに、鴻海は安価な従業員を大量に抱え、iPhoneなど世界中の製品に対する究極の「下請け」を行っており、販管費率は脅威の3.48%という低水準だ。しかし、そもそもこのビジネスモデルは、日本の総合電機メーカー大手やサムスンなどとは全く違うので今回の比較対象にはならない。