旧シャープ本社社屋 photo by Otsu4 CC BY-SA 3.0
電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾の鴻海に買収されることになったシャープ。先月23日には本社にあった創業者の銅像すら撤去されるなど現在、経営再建の真っ只中だ。
そんなシャープで取り沙汰されているのが「7000人削減」の噂だ。
同社は買収前の昨年7~8月時点で、3200人が希望退職に応じたばかりだが、買収後の5月12日に発表された決算概要資料では、「グローバルで最大7000人程度の人員削減」という文言が明記され、騒動となった。もし実現されれば、4万4000人いるシャープ社員の実に16%が職を失うからだ。
のちに国内からの批判を受け、文言自体は削除された。しかし、先月22日になって鴻池の副社長が「7000人削減の可能性」を改めて認めた。
買収契約を結んだ4月2日時点で、鴻海の郭台銘会長が「なるべく全員残ってもらえるようにしたい」と話していただけに、再三の人員削減計画に対しては「やはり外資系企業は冷徹だ」、「雇用は維持されず、日本企業の技術力だけが国外流出する」といった感情的な批判が噴出している。
しかし、ここで一度客観的な数字を読み解き、類似企業と比較することで、この人員削減の妥当性、ならびにシャープの現状を改めて把握したいと思う。
なぜなら、筆者は人員削減だけではシャープは再建できないと考えるからだ。