巨額の工費でパナマ運河拡張工事がついに終了。開通式は6月26日

「21世紀最大のエンジニアリングを駆使した工事」

 今回の運河拡張の規模はエジプトのケオプスのミラミッドを2つ建てる量に相当する450万立方mのコンクリートを使い、鋼鉄はエッフェル塔を22塔つくるだけの量を使用したという。(参照:「OK diario」 )  運河の通航システムは大西洋側からだと3つの閘門を通過して海抜26mに位置するガツゥン湖に到着、そして太平洋側からも3つの閘門とミラフローレス湖を通過して同湖に到着。それから向かう側に船を進めてそれから閘門を下って行く。各閘門室は長さ427m、幅55m、深さ18.3mで、18時間をかけて通航する。  この拡張工事のお蔭で、これまでの〈4500TEUの船までした通航出来なかったのが、12500TEUまで通航出来る〉ようになった。TEUとは20フィートコンテナーで積める数のことである。  これまで〈年間で3億5000万トンの積荷の通航だったのが6億トンにまで増加出来る能力を備えた〉ことになる。(参照:「El Mundo」)  そして、日本にとって重要なのはLNG輸送船が通航出来ることになったことである。日本は米国の東部から液化天然ガスをパナマ経由での輸入を長年望んでいた。問題は通航料である。これまでもパナマ運河の通航料は頻繁に値上げしていた。通航料が割高だと2週間程度余分に航海日数がかかってもスエズ運河を経由しての輸送の方が原油の価格が下がっている現在では割安になる可能性が充分にある。  コンソーシアムのリーダーになったサシールのマンリケ社長は「(パナマ運河拡張工事は)21世紀の最大のエンジニアリングを駆使した工事であった。建設会社にとって最も象徴的なプロジェクトであり、また最も難しい工事のひとつであった」と述べた。(参照:「OK diario」)
次のページ
約24億ドルの予算オーバー
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会