巨額の工費でパナマ運河拡張工事がついに終了。開通式は6月26日

約24億ドルの予算オーバー

 最終的に〈総工費は55億8100万ドル(5916億円)〉となった。受注した時の見積額と比較して、その差は23億8900万ドル(2532億円)となるが、その内の〈4億6500万ドル(493億円)は既に運河庁では支払うことに合意〉している。よって、未払残金となる19億2400万ドルを(2039億円)をGUPCは運河庁と交渉して行く方針だ。  円満な解決を望んでいるが、双方で合意に至らない場合は、先ず紛争解決委員会(DAB)にて解決を試みて、それでも合意が見つからない場合は米国マイアミにある紛争仲介裁判所に訴える意向であるという。サシールでは〈この未払残金の内の10億ドルは運河庁が負担することはないであろう〉と内心考えて、強引に解決策を模索することを控える方針でいるようだ。(参照:「OK diario」)  サシールがそのように考えているその背後には、パナマには〈今後4年間に190億ドル(2兆140億円)をインフラ整備に使う計画〉があり、サシールはそこでの受注を期待しているからだ。  そのひとつが〈運河に架ける第4の橋で、総工費10億ドル(1060億円)で、韓国の現代と組む予定にしている〉という。そしてパナマ市内で〈総工費30億ドル(3180億円)の地下鉄第3ラインの建設も計画〉されている。それには勿論、スペインでサシールのライバルACSも入札に参加するはずである。ACSは運河拡張工事の入札でサシールに負けた経緯がある。(参照:「OK diario」) <文/白石和幸 photo by Roger W via flickr(CC BY-SA 2.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会