タイの国内移動、長距離バスに代わりLCCが台頭

サービスはそれなりだがタイ人の生活を変えた

 もちろん、LCCにも悪い点はいくつかある。ネットでの予約が基本だからかフライトキャンセルや時間変更がメールで来るだけで、ほかにアナウンスがない場合がある。しかも、LCCのフライト変更は非常によく起こる。そのため、空港に着いてから初めてその機に乗ることができないということを知るケースがよくある。  さらに、格安なだけあってサービスも悪い。客室乗務員は問題ないのだがチェックインカウンターにいる地上勤務員などは話し方が横柄であったり、こちらの質問に舌打ちをしたりと非常によろしくない。  客の質が悪いときもある。大声で話す人やフライト中に携帯電話を使おうとする人などがいる。恐らく初めて飛行機に乗る人たちなのだろうか。国際線では見かけないシーンなので、逆におもしろいといえばおもしろいが、落ち着いた空旅とは言い難い。

最近は減ったが、着陸時にフラップやエアブレーキが広がったのを見て「故障?」と騒ぐ人を見たこともある。それほど飛行機に無縁だった人も乗るようになった

 ただ、そうしたデメリットを差し引いても、料金と移動時間を考えるとLCCは長距離バスよりは断然使いやすい。空港がない県は仕方がないが、タイ国内のほぼすべての空港を網羅しているし、この数年では国際便も充実し、バンコクから日本へも飛べるようになった。日本のインバウンド需要増は、これも一役買っているのは間違いない。  今後もLCCがタイ人の意識を変革していく可能性は大きいだろう。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM)>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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