2030年代のロケット業界はどうなる? 業界リーダーの欧・アリアンスペースはこう見る

スペースXの「ファルコン9」ロケット。そのままでも十分安価だが、写真のようにロケット回収、そして再使用することで、さらなる低コスト化を図ろうとしている Photo by SpaceX

ライバル、スペースXとどう対抗するか

 そこで現在、欧州は「アリアン6」という新型ロケットの開発を行っている。アリアン6は、現在運用中の「アリアン5」ロケットよりも打ち上げ能力を若干向上させた上に、価格は半額という目標を立てている。正確な価格がどれくらいになるかは不明だが、スペースXのファルコン9と比べても、十分に競争力のある価格になる可能性は高い。  ただ、今回の記者会見で同社のステファン・イズラエルCEOは、「そもそもファルコン9とは市場で競合しないだろう」という見方を示した。スペースXはまず、米国内の需要(NASAの衛星や有人宇宙船、軍事衛星の打ち上げ)に目を向けており、またスペースX自身が4000機の衛星を打ち上げてインターネット通信サービスを展開する計画もある。さらに火星に宇宙船を飛ばすという構想もある。つまり商業打ち上げ以外の分野で、すでに相当な数のファルコン9の打ち上げを考えているということになる。  イズラエル氏はこのことから、「アリアンスペースは火星に行くということは考えておらず、自社で大量の衛星を打ち上げるという計画もない。たしかにファルコン9は米国内外の商業打ち上げも狙っており、そこで競合することはあるだろうが、(ファルコン9は前述の他の打ち上げで相当数が使われることから)市場が重なることはないだろう」と語った。  また、ファルコン9は旅客機のように機体を再使用することでコストを抑えようとしているが、これについてもイズラエル氏は「彼らはこれまでに2機の回収には成功しているが、他の回収は失敗に終わっている。また回収に成功した機体の再使用はまだ行われておらず、再使用される機体の信頼性も不明である。戻ってくるためには追加の推進剤を積まなければならないし、再使用には整備も必要になる。つまり再使用で本当に安くなるのかはわからない」と語り、否定的な見方をしている。
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2030年代には液体メタン・エンジンでさらなる低コスト化
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