駅のホームは「事故多発地帯」。地下鉄ベビーカー挟み込み事件に見る問題点

「ブレーキを踏みづらい」空気

 では、具体的には何が問題なのか。この関係者は、「鉄道事業者の乗務員教育の意識付けの問題」と断じる。  今回の事故で非常ボタンが押されたにも関わらず緊急ブレーキをかけなかったという車掌は、昨年入社したばかりで車掌としての単独乗務も20日足らずだったという。この経験の浅さが事故を招いたというのか。 「もちろんそれもあるでしょう。ベテランならば、躊躇なくブレーキをかけていたと思います。ただ、乗務経験の浅い新米車掌に責任を押し付けても意味が無い。そもそも、『危ないと思ったら迷わずブレーキをかけろ』という指導が徹底されていたのかどうか。そこが疑問ですし、最大の問題ではないでしょうか」  一般に、車掌の仕事というとドアの開閉と車内放送が思い浮かぶ程度かもしれない。新幹線など特急列車の車掌なら、車内改札などをするスタッフという印象も強い。だが、本来、車掌は“保安要員”。今回の事例に寄せて言えば、列車が発車してホームから出るまでは車掌弁(緊急ブレーキ)に手をかけた状態で車外を監視し、緊急時には即座にブレーキをかけて列車を停止させるという役割を担っているのだ。かつて大手事業者で車掌をしていたというある男性は言う。 「少しでも不安があれば、躊躇なくブレーキをかける。ホーム上の安全確認は車掌にしか出来ないので、これは絶対的にやるべきことです。何よりも再優先。とは言え、実際に車掌がブレーキをかけるようなケースはほとんどない。よほど百戦錬磨のベテランでもない限り、なかなか列車は停めにくいものですよ」
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新人の「焦り」を生むさまざまなプレッシャー
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