Amazon設立者ジェフ・ベゾスが挑むロケットの「再使用」

まるでSF映画に出てきそうな「ニュー・シェパード」ロケット

着陸しようとするニュー・シェパード Photo by Blue Origin

 ベゾス氏もまた、宇宙事業を始めた目的を「人類が宇宙に進出し、活動の場とするため」だと語る。そのためにはまず、気軽に宇宙に行ける、安価で安全なロケットが必要になる。ブルー・オリジンはまず、そうしたロケットの開発を始めた。  試験機による飛行を何回か行ったのち、2014年には本番機となる「ニュー・シェパード」というロケットを開発した。ニュー・シェパードは地面から垂直に打ち上げられ、一般的に宇宙とされる高度100kmまで到達することができる。その後、ロケットはそのまま垂直に落下し、SF映画に出てくるロケットのように、エンジンを逆噴射させながら地面に着陸する。そして機体の整備と推進剤(燃料と酸化剤)の補給を行った後、再び打ち上げることができる。  ニュー・シェパードの1号機は2015年4月に打ち上げられ、高度93kmまで到達したものの、着陸に失敗。その後2号機が製造され、同年11月23日には、高度100.5kmまで到達した後、地上への着陸に成功した。  今年1月には、その打ち上げに使ったものと同じ機体を再び打ち上げ、宇宙空間まで到達した後、着陸に成功。そして今回、その機体が三度飛行に成功した。  垂直に離着陸でき、さらに高度100kmの宇宙空間まで飛行した機体を再使用できるロケットは、現在のところニュー・シェパードしかなく、ロケットの「再々使用」による3回目の飛行は世界初のことである。同社では今後もさらに再使用を繰り返し、運用開始に向けたさまざまな知見を得たいとしている。
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