本数を増やして利便性を上げる事で乗客増加といかない理由
そもそも、鉄道は“いつでも駅に行けば利用できる”便利さがなければなかなか利用してもらえない。実際、富山市北部をはしる富山ライトレールでは、JRから富山港線の経営を引き継いだ際に運行本数を大幅に増やすことで利便性を確保し、乗客の増加につなげた例もあるほどだ。
また、同様の例では福井県のえちぜん鉄道も廃線の危機から復活した例として知られる。同社は立て続けに事故を起こした京福電鉄の路線を受け継いだ。事故が続いた直後に一時期運行が停止されたが、それに伴って鉄道利用者が自家用車利用に流れて大渋滞を引き起こしている。その結果、福井市や福井県をはじめ沿線自治体が支援することにより路線を維持することになり、えちぜん鉄道が発足したのだ。
ここでも一定以上の運行本数を確保することで、利便性を確保している。
「ただ、JR北海道では富山ライトレールやえちぜん鉄道のようにはいきません。そもそも富山市や福井市のように十万人規模の人口を抱える都市は北海道ではほとんどない。特に札沼線や留萌本線などの閑散路線の沿線人口はせいぜい数千人。それでも真冬の雪のおかげで過密路線なみの保守費用がかかるわけです。そんな状況で路線を維持し続けることは、ほぼ不可能と言っていい」(鉄道専門誌記者)