ここまでご紹介してきた様に、統計では全世界で非季節性第四波エピデミックの兆候が現れており、IHMEは、明確に三月以降の英国変異株による第四波エピデミックの襲来を予測しています。
但し、IHMEによる予測は、エピデミックの規模について現時点ではまだ不確実性が大きく、肩透かしになる可能性も、破滅的な大津波がやってくる可能性もあります。
そもそもこれまで何度も指摘してきた様に、IHMEなどによるエピデミック予測、とくに中期・長期にわたるものは、将来の可能性を示してそれを回避するための政策決定を求めるためにあるものです。故に悪い予測は、回避するためにあります。
残念なことにトランプ政権下の合衆国と謎々効果が予測に織り込まれた六月以降の本邦は、予測を回避するための有効な政策をもたず予測は概ね的中しています。それどころかIHMEなどのモデルが予測出来ない過早な社会的行動制限の緩和やGo Toなどの政策的愚行によって悪い方向に予測が外れる形で夏のエピデミックまで起こしてきています。
合衆国は、今年1/20のバイデン政権成立と共に神秘主義的な防疫政策から徹底した科学的・合理的防疫政策に転換しました。その結果か、アンソニー・ファウチ博士の表情がとても明るくなっています*。最後にIHMEによる6/1までの合衆国における真の日毎新規感染者数予測を見てみましょう。
〈*実際にバイデン政権成立直後、ファウチ博士は、「まるで霧が晴れた様だ」「言うべき事を言うべき時に言える様になった」などと晴れ晴れとした表情で語っている〉
合衆国での真の日毎新規感染者数評価と予測(2021/02/20現在)(出典:IHME)
合衆国では、バイデン政権の成立以降、連邦施政権下でのマスク着用義務化ほか、様々な感染症対策が矢継ぎ早に打ち出され、市民への直接給付である一時金2000ドルを含む失業保険延長、家賃免除など200兆円の追加経済支援策が議会で審議中です。そして、2/24現在でワクチン接種は、全住民3億3千万人に対して初回接種が約4500万人、二回接種完了が約2000万人と150万人/日を超える速度で行われています。
その結果、IHMEは、合衆国における第四波エピデミックは、相当程度抑制されると予測しています。トランプ・ファミリーがホワイトハウスから消え去り、合衆国は、生き返ったと言えます。
今回はこれまでとして、次回、各国の防疫政策とその実績がIHMEによる英国変異株エピデミックについてどのように評価と予測が異なるか、最新データと予測をもちいてご紹介しようと考えています。
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ40:第四波エピデミック(1)
<文/牧田寛>