「第四波エピデミック」は襲来するのか? データから導く結論とは

Tokyo,,Japan,-,February,19,,2021:,Street,In,Front,Of

2月19日の銀座。マスク姿とはいえ人出が増えてきた。photo by Ned Snowman / Shutterstock.com

漸く去りつつある第三波季節性エピデミックSurge

 前回、いつもの様に日本、韓国、台湾のCOVID-19エピデミックの統計をご紹介し全ての国で季節性の第三波エピデミックは終息に向かっていることを示しました。尤も台湾では、水際防衛戦略、クラスタ戦略共に完璧に機能しており昨年春の第一波エピデミック終息以降、エピデミックは発生していません。  前回の最後に、本邦と韓国について英国変異株を支配株(ドミナント)とした非季節性第四波エピデミックSurgeが既に襲来しつつある可能性を示して締めくくりました。今回は、日韓台と世界について統計をご紹介しつつ、合衆国シアトルのワシントン大学内にあるIHME(保健指標評価研究所)* による予測と評価をご紹介しながら非季節性第四波エピデミックについて論じます。 〈*IHMEは、本邦政府、自治体の依頼で人口動態や公衆衛生などに関わる受託研究を多数、長年行ってきており、本邦についての知見と経験を豊富に持つ〉

「秋の波」終息に潜む変調

 既に世界の全地域で季節性エピデミックは終息に向かっています。また南半球は、夏でしたので季節性エピデミックは生じていません。本来ならば春の到来と共に北半球全域で日毎新規感染者数は減少を続け、3月末までには、昨年9月中旬並みの水準まで減少する筈です。しかし筆者は、2月に入り統計に異変を感じていました。全世界で日毎新規感染者数の下げが鈍くなっているのです。
北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日米加における百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(7日移動平均ppm)2020/09/01〜2021/02/23

北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日米加における百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(7日移動平均ppm)2020/09/01〜2021/02/23(出典:OWID

北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日本、韓国、英国、合衆国、カナダにおける百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(7日移動平均ppm)2020/02/01〜2021/02/23

北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日本、韓国、英国、合衆国、カナダにおける百万人あたりの日毎新規感染者数の推移(7日移動平均ppm)2020/02/01〜2021/02/23(出典:OWID

 北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日本、韓国、英国、合衆国、カナダにおける百万人あたりの日毎新規感染者数の推移について7日移動平均で2月中のみ表すとよく分かります。  合衆国では、2/22に犠牲者数が50万人と、ついに合衆国史最悪である南北戦争殉職者数とされる49万8332人を超えました。一方で冬の嵐は去ったと、復興への期待が高まっています。しかし実は、合衆国の日毎新規感染者数は、2月下旬に入り下げ止まっています。現在の合衆国の日毎新規感染者数は、昨年10/25*の水準であり、秋の波が始まる前、9月のBaselineに比してちょうど2倍の水準です。こんな高い水準で下げ止まれば、僅かな切掛けで感染大爆発しかねない危険な状態と言えます。 〈*昨年10/25は、押し寄せる「秋の波」に対抗して全米で社会的行動制限の強化が行われており、トランプ元大統領が民主党州について誹謗中傷するデマゴギーを垂れ流していた時である。参照:Fact-checking Trump’s exaggerated claims that Democratic-run states are ‘shut down’ 2020/10/25 CNN〉  現時点で日毎新規感染者数は、既に欧州で増加に転じており、大洋州と南米は季節性とみられる増加、北米、アジアが停滞、アフリカが微減と言った状態です。代表的な国を数カ国取りあげると、英国、カナダ、韓国が増加に転じており、合衆国と本邦は停滞です。
北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日本、韓国、英国、合衆国、カナダにおける日毎新規感染者数の一週間変化率(%)2020/02/01〜2021/02/23

北米、南米、欧州、アフリカ、アジア、大洋州と日本、韓国、英国、合衆国、カナダにおける日毎新規感染者数の一週間変化率(%)2020/02/01〜2021/02/23/大洋州は、感染者数そのものが少ないために僅かな感染者数の増減で変化率は大きく変動する(出典:OWID

 筆者は、多くの方が用いる実効再生産数でなく一週間変化率*、二週間変化率によって新規感染者数、死者数などの傾向を評価していますが、ここで日毎新規感染者数の一週間変化率を2月中について示します。 〈*当日の7日移動平均と前週同日の7日移動平均の間の変化率で正の数なら増加、負の数なら減少、ゼロなら停滞〉  一週間変化率は、全領域で増加傾向にあり、既に大洋州と南米はおそらく季節性で新規感染者の増加を示しています*。また、アジアと欧州は、非季節性での増加に転じています。全世界も僅かですが増加に転じました。 〈*大洋州と南米の人口が多い地域は、現在夏から秋へと向かっている〉  また韓国とカナダでは既に非季節性で増加に転じており、本邦と英国も減少率を小さくしつつあり、やはり現在の傾向を維持すると3月上旬には増加に転じます。復興への期待の膨らむ合衆国も、ここ一週間の推移は、急速に減少速度を減じており、3月初旬にも増加に転じる恐れがあります。  北半球は、全域で季節性パンデミックが収束に向かっていたのですが、その最終段階で収束が止まってしまい、反転増加しつつあると言えます。
次のページ
実効再生産数はどうか?
1
2
3
PC_middleRec_left
PC_middleRec_right
関連記事
PC_fotterRec_left
PC_foterRec_right