「天井を見ているだけで忙しい」アーティスト田島ハルコが語るコロナ禍と自己の流動性

最新リリース「未来世紀ギャルニア」

 新曲の話に移ろう。2020年からの心境や考え方の変化が、最新のリリースである「未来世紀ギャルニア」に反映されている。90年代風のギャル的な意匠にトランス、と90年代風のギャル的な意匠にトランスという、田島ハルコらしくもあり、まさに新境地とも言えるような作品だ。 田島:未来世紀ギャルニア」は、世界観は作り込んでいるけど、でも身近というか、予算的な意味で貧乏くさいというか、そういうくらいのバランスが面白いな、と。やっぱり今やりたいこととしては、「私はこう思ってる」とか「こういうのがしんどい」ということを表現することより、純粋にエンタメとして面白いということをやりたい、ということを思っていて。ある意味退廃的でヤケクソな精神性は、こういう世の中だとどうしてもあるので、そういうのと向き合ってもいいのかなと。  去年、そういう種類の曲ばっかり聴いていて、ゴアトランスとか、サイケっぽいやつもそうだし、ガバとか、早くてバカな曲ですね。そういうのって無条件に元気が出るし。そういうのをさらに、アンセム、という感じにして、2000年代初頭のJ-POPみを足したりとか、味の濃い要素をいっぱい入れた曲ができたんで満足です。  これから作る作品だと、こんなのをやってみたい、あんなのをやってみたい、というのはあるのだろうか。 田島:音的な話だと、ハイパーポップとか尖った音のポップスが流行しているし好きなのでそういう音作りもやろうとしています。もうちょっと別なバランス感覚もあって、「せっかくZoomgalsの人」、っていう感じにもなってるし、ラップがあったりギャルでギラギラっぽい感じとかがあってもいいかな、と。  その上で、ビジュアル面などでは自分の今のモードにあった趣味的な感じの表現もやりたいとも考えています。「未来世紀ギャルニア」はそのあたりの感覚が融合できてよかった。今作ってるのは、去年の自分のマイブームでもあったトランスとかユーロビートみたいな曲です。ダサさ全開だとちょっとあれなんで、もうちょっと面白いものを足して、ダンサブルでバカバカしさは残しつつ、という方向性です。

イメージをコンスタントに変えたい

 2021年以降の方向性、世界観というのはどのように変容するのだろうか。混乱と模索の2020年を経て、どこに向かうのか。 田島:フォーマットというかファッションというか、ガワとしてのいったんの完成形は、Zoomgalsが(去年の)5月にZoomで出した最初の曲、「Zoom」らへんのビジュアルでしょうか。  ピンクの髪でエクステをして、で、バサバサのつけまにピンクで派手な中華モチーフっぽい服を着ていました。2019年のアルバム制作時からのセルフイメージの到達点みたいな感じです。でも一方でこの人だったらこうみたいなのがビジュアルに紐づいちゃう、という感じもイヤだし、何かしらイメージをコンスタントに変えたいな、と思うようになった。  で、その後は髪色を左右でショッピングピンクとビビットな紫といういちばん派手なものにして。そのころ、すごく弱っていたからバキバキにしていこうと思ったんだけど、なんか違う、となったりもしました。自粛期間中で外出するにも深夜のスーパーとかにしかいけない時期だったのもあって、何やってんだろ、みたいな(笑)。私の場合、ターニングポイントが髪型の変化と同時に訪れることが多くて、どっちが先なのかというと難しいんですけど、今の髪型にしてからようやくしっくりきて、いろいろと見えてきたというところはあります。唐突なんですが、女性から見た理想化された二次元とかの男性像みたいなのをやりたいな、と思うようになりました。
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女性性とアニムス
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