素人投資家たちが巨大ヘッジファンドに2兆円の損失を与えて大撃破! 米ゲームストップ株騒動を専門家が解説

バイデン政権の誕生も追い風に

  ロビンフッド 実際にはギル氏は’19年前半から行使価格8ドルのコールオプション(満期:’21年1月15日)を買い始めている。満期が遠い、格安のオプションを2年近く前から買い集めていったことをwallstreetbets上で報告しているのだ。  このギル氏にとって心強い味方となったのが、前述のロビンフッダーたち。彼らの力はコロナ禍という特異な状況下で大爆発したのだという。金融ライターの高城泰氏が話す。 「彼らの原資になったのは給付金。米国では’20年3月に1200ドル、12月に600ドルの現金給付が実施されていますが、そのたびにロビンフッダーの間で人気のテスラ株が上昇しました。その値上がり益がGMEの買いに繋がったのでしょう」  前出の日本人投資家によると「加えて、所得の再分配を掲げるバイデン政権の誕生が追い風になった」という。ヘッジファンドから利益を刈り取る行為は、「義賊のロビンフッドと重なって称賛されやすかった」のだ。

ロビンフッダーたちの反乱は今後も続くのか?

 果たして、ロビンフッダーたちの反乱は今後も続くのか?  「Redditでの買い煽りについて金融当局が調査に乗り出していますが、投資家は非難の声をあげています。ロビンフッドが1月28日に取引を制限したからです。  ロビンフッドは投資家の注文情報をヘッジファンドなどに流してリベートを受け取ることで、取引手数料無料化を実現しました。ヘッジファンドはその注文情報をもとにさまざまな取引を行うことで利益を得ているのです。  問題は、その注文情報の大口卸先の1つが、空売りファンドを支援したシタデルだったこと。ロビンフッドに利益をもたらすシタデルが、支援先の損失をカバーするため、ロビンフッドに取引制限をかけるよう圧力をかけたのでは?と疑われている。  一方、調査に乗り出した金融当局の実質的トップであるイエレン財務長官は過去にシタデルをはじめとした大手ファンドから計7000万円もの講演料をもらっていたことが明らかになっています。買い煽りがあったとして個人投資家に対する締め付けを厳しくするようなら、ロビンフッダーたちは黙っていないでしょう」(豊島氏)  ロビンフッドは1月28日に取引制限を導入した理由を「資金繰り」と発表している。一般に、日米問わず、証券取引が決済されるまでには2日程度の時間を要する。  この間、確実に決済が実行されるよう、証券会社は“清算機関”に預託金を入れなければならないのだが、相場が大荒れしたときにはより多くの預託金を求められる。資金ショートのリスクを解消するための一時的な取引制限だったというのだ。  もちろん、それでも個人投資家の取引を妨げた責任は重い。米証券取引委員会はすでに対する調査に乗り出しているが、仮にシタデルなどの取引先を守るために取引制限が実施されたことが認められるようなことがあれば、さらに一致団結して個人投資家はヘッジファンドを狙い撃ちにする可能性も。
次のページ 
3度目の現金給付時にGME相場第2波もある!?
1
2
3
4
5
週刊SPA!2/16号(2/9発売)

表紙の人/ 森みはる(26時のマスカレイド)

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会