素人投資家たちが巨大ヘッジファンドに2兆円の損失を与えて大撃破! 米ゲームストップ株騒動を専門家が解説

少額でも爆発的なリターンを生む可能性

 仮に、GMEが爆騰せずに6ドル前後をさまよい続けて満期を迎えた場合でも、投資家の損失は最初に支払った0.75ドルだけ。12ドルで買える権利を放棄できるためだ。  このように損失は限定的なのに、リターンは無限大である点が、「オプションの買い」の魅力だ。少額でも爆発的なリターンを生む可能性がある。それでいて、オプションの買いは現物株を左右するという。 「一般に現在の株価からかけ離れた行使価格のコールオプションは、業界で『ポンカス』と呼ばれるような価値のないものです。しかし、購入者が急増するとオプションの売り手はリスクをヘッジせざるを得なくなる。その商品特性上、オプションは買い手に対して損失を限定しながら無限のリターンを生みますが、売り手に対しては安定的なリターンと引き換えに無限大のリスクを生む可能性が生じるからです。 実際、GMEの現物価格が急騰した場面ではコールオプションがそれ以上の値上がりを見せましたが、この急騰リスクをヘッジするためにオプションの売り手は現物のGME株を買っていきました。つまり、個人投資家はたった0.75ドルだったGMEのコールオプションを買い集めることで、6ドル(’19年12月時点のGME株価)を超える現物買いを喚起したのです」(豊島氏)

GME相場で22億円超の資産を築いたYouTuber

 実は、‘19年12月の段階でこのコールオプションを買い始めたのが、投資系ユーチューバーのキース・ギル氏だ。前出の日本人投資家が話す。 「’19年に500万円程度でオプション取引を始めて、このGME相場で22億円超の資産を築いたレジェンドです! 1月27日の1日で20億円の含み益が発生して一時は資産が50億円近くに達したのですが、翌28日には15億円も利益を減らしています(苦笑)。  勝っても負けてもトレード成績をwallstreetbetsに投稿し続け、ユーチューブでは毎回3~5時間も一人で話し続ける投資オタク。その規格外のキャラから、すでに彼を主役にネットフリックスなどが映画化に動いていると言われています」
ロビンフッド

wallstreetbets」より

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