再々加速した第3波エピデミック。日韓を襲う危機的状況

コロナ禍のソウル

模範国だったが、第3波で状況が悪化している韓国・ソウルの街並み
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第3波エピデミックSurge再々加速!

 本記事は、今年最後のHBOL連載記事になると思いますが、予定ではIHME(保健指標評価研究所)による日韓米の予測と評価をご紹介して終えるつもりでした。しかし、本邦のエピデミック統計が急激に悪化したので今回は速報的な記事となります。  前回までに本邦では、COVID-19エピデミックが11月に破滅的増進を示したものの、11/13に突然報じられたGo To Eat Point事業終了*後、直ちにエピデミック拡大が抑制され、その影響が統計に表れる11/21以降、残念ながら日毎新規感染者数は減少しませんでしたが、日毎新規感染者数の倍加時間(以後「倍加時間」)がそれまでの20日程度から70日程度へ、もっとも遅いときには1年程度に大減速するほど勢いが衰えていることを示しました。 〈*新型コロナウイルス感染症対策分科会が11/12に開催されているが、議事概要などしか公開されておらず透明性が著しく低い〉  その後11/21-23の「我慢の三連休」を契機に12/7から本邦におけるエピデミックSurgeは、再加速に転じていました。再加速と言っても倍加時間は本記事執筆中に評価したところ70日程度であり、新規感染者の増加を人為的に抑制する時間的余裕は十分にありました。  この調子ならば、クリスマス、年末年始、成人式、共通試験など不特定多数の人が移動し、集まるイベントの影響如何では2月から3月にたいへん厳しいことになるものの、対応する時間、エピデミックを抑制する時間は辛うじてあり、最悪の事態は避けられるものでした。  ところが、12/20の週半ばから状況は一変しました。  筆者はほぼ毎日Our World In DATA(OWID)の統計更新を追っていますが、12/24更新の12/23新規感染者数が増えすぎている=目立って加速し始めている事に気がつきました。勿論1日だけなら統計の乱れの可能性もありますが、12/27更新の12/26新規感染者数まで傾向は一貫してエピデミックSurge急増進を明確に示しており、これは7日移動平均、1週間変化率と言った初動に重要な統計にも明確に表れています。

統計で比較する日本、韓国、台湾

 ここで、本邦の現実を見るためにも、まず、日毎新規感染者数の推移をRaw DATAと7日移動平均で見てみましょう。対象は、本邦、韓国、台湾です。全てモンゴル・中国・ミャンマー以東の東部アジア・大洋州・謎々効果傘下国です。また、三国ともに島国と扱って良いです*。 〈*本邦と台湾は勿論島国であるが、韓国も北朝鮮との38度線非武装地帯を挟んで隔離されており、事実上の島国と扱って良い。島国としての隔離の程度は本邦が最も高く条件が良い〉  日韓台は、三カ国共に事実上のクラスタ戦略をとっていますが、これまでの結果は下記の様に明確に分かれてきました。 台湾:初動とその後の取り組みによって大成功をして世界の理想 韓国:二度の右派宗教団体による大規模アウトブレイクの奇襲を喰らいながらも制圧に成功し、世界の模範 日本:あらゆる点で誤り失敗し続けて来ており失敗を正すことも出来ずスウェーデンと並んで大失敗の見世物  これら三カ国は、秋の波にどう対処出来たのでしょうか。なお人口は、有効数字二桁で台湾2400万人、韓国5200万人、日本1億3千万人です。三国共に超高齢化が進んでいます。
日本、韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数(ppm線形Raw DATA) 2020/09/01-2020/12/26

日本、韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数(ppm線形Raw DATA) 2020/09/01-2020/12/26
OWID

日本、韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数(ppm線形7日移動平均) 2020/09/01-2020/12/26

日本、韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数(ppm線形7日移動平均) 2020/09/01-2020/12/26
OWID

 日本、韓国、台湾における100万人あたり日毎新規感染者数の7日移動平均を見ると、12/18(金)を起点に本邦の日毎新規感染者は大きく増加に転じています。とくに指数関数的増加を示していることは深刻で、11月上旬の深刻な挙動が戻ってきています。とくに深刻なのは、政府が何もしないし何もできないし、何をしたいのかさっぱり分からないことです。  一方で世界の模範国である韓国でも状況は深刻で、第三波では、すっかり本邦に追いついてしまっています。但し、12/14(月)からのK防疫体制の大幅強化*の効果が期待出来ます。韓国は、感染者のPCR検査、隔離、接触追跡が迅速であり、統計への反映もウィルスとの接触後10-12日程度と早いです。従って、そろそろK防疫体制強化の効果は統計に表れている可能性がありますが、見極めにはあと数日を要します。実際にはK防疫体制強化の前から危機的状態は盛んに報じられており、市民の行動を抑制していたと考えられます。実際エピセンターであるソウル市域では11月中旬以降、移動傾向が明らかに抑制されています。 〈*ソウルなど首都圏の防疫レベル、2.5段階に引き上げ(韓国) 2020/12/14 ジェトロ添付資料に社会的距離の段階について詳細あり)、ソウル市民なら誰でも新型コロナの検査が可能な臨時選別診療所を追加で設置 2020/12/15 ソウル市:韓国では、接触追跡が困難になりつつあり、クラスタでなく市中感染が増え始めている。結果、クラスタ戦略の破綻があり得るために、一般無料検査を急拡大している〉
ソウル首都圏での移動傾向

ソウル首都圏での移動傾向
11月の社会的距離2段階への引き上げと12月の社会的距離2.5段階への引き上げが良く現れている
韓国での移動傾向には公共交通が計上されていないので注意を要する
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東京都区部での移動傾向

東京都区部での移動傾向
11月下旬から12月にかけて移動傾向は高止まりしている
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 韓国では、12/12以降既に日毎新規感染者が横ばい気味であり、K防疫強化の効果が順調に現れれば、首の皮一枚で収束に向かう見込みがあります。失敗した場合は、ソウル市域において初のロックダウンに相当する社会的距離確保3段階の導入となり、韓国社会には大きな痛手となります。  次に一週間変化率、二週間変化率を見て傾向(トレンドの推移)を見てみましょう。ここでは台湾を除きます。と言うのも台湾は、人口約2400万人に対して253日間国内新規感染者のゼロが続き*、数人の入国者が検査陽性となるだけで変化率が大きく変動し、日韓の変化が見えにくくなるためです。 〈*《新型肺炎》接触者を隠ぺい、エバー航空パイロットに罰金/台湾 2020/12/23 ワイズコンサルティング衛生福利部(台湾厚生省)の発表文 2020/12/22〉 ●国内で8ヶ月以上ぶりに生じた新規感染を報じる中華民国(台湾)厚生省による広報 感染者の行動追跡による接触可能性のある場所と時間を伝える中華民国(台湾)厚生省による広報
日本と韓国における日毎新規感染者数の一週間変化率(%)*2020/09/01-2020/12/26

日本と韓国における日毎新規感染者数の一週間変化率(%)*2020/09/01-2020/12/26
*正の値では新規感染者数は増加しており、負の値で減少である
*一週間変化率は直近の傾向(トレンド)を判断することに向いており、筆者は倍加時間の暫定値(速報値)を算出することに用いている
OWID

日本と韓国における日毎新規感染者数の二週間変化率(%)*2020/09/01-2020/12/26

日本と韓国における日毎新規感染者数の二週間変化率(%)*2020/09/01-2020/12/26
*正の値では新規感染者数は増加しており、負の値で減少である
*二週間変化率は長期的傾向(トレンド)を判断することに向いており筆者は倍加時間の算出に用いている
OWID

 日韓共に一週間、二週間変化率は思わしくなく、9月以降、韓国は本邦に一週間遅れで追っていましたが、本邦の11月下旬からのエピデミックの急減速によって韓国は本邦に肉薄していました。その間韓国は11月と12月に社会的距離の強化をし、漸くエピデミックの拡大速度を落とすことが出来ています。  12月に入り本邦は、前回指摘した11月三連休によるエピデミックの増進も一過性の山で済んだと見られますが、年の瀬になって再度エピデミックの増進が始まっています。一進一退を繰り返しながら結局ぶり返しているというのが本邦の傾向です。倍加時間は、70日程度に減速していたものが、暫定値で40日程度まで加速しており、このままでは1月上旬にも倍加時間は30日を割り込む恐れがあります。11月の最悪期が倍加時間20日程度でしたのでこれはたいへんに深刻な値です。  韓国は、11月中旬から12月上旬にかけて倍加時間が10日から20日という破滅的な期間が1カ月近くあり、世界の模範が本邦に追いついてしまいました。一方で12月下旬に入りエピデミックが収束に向かう兆候があり、順調に推移すれば新規感染者数が減少に転じる可能性があります。  日韓共にこの年末年始から一月にかけて収束か否かの分かれ目と言えます。台湾は、今のところ水際防衛とクラスタ戦略が十分に機能していると思われます。
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第3波エピデミック増進再加速の原因は忘年会か?
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