生活保護費で少女50人を買春した男に下された判決<裁判傍聴記・第5回>

100人のうち50人が未成年だった

 今回性犯罪で男が起訴されたのは1件のみ。しかし検察の話では、「ネットで10代20代とセックスを繰り返し常習性がある」とのことだ。その数は耳を疑うものだった。なんと、10年間で約100人、そのうち半分は未成年との性行為であったという。 「今回逮捕され、後でゆっくり考えると間違った判断だと思いました。両親にも、もう迷惑をかけないよう暮らしていきます」  なんだ「ゆっくり考えると」って。ゆっくりゆっくりTwitterを巡回しながら日々金で餌食になりそうな少女を探していたんじゃないのか。援助交際している少女もどうかと思うが、この男は50人の少女の体を貪った。そんな息子を父のあなたはどう思うんだろうか。 「息子が東京に出てからは週に1回は電話しておりました。年に4~5回は帰省もしていました。今回の件はとても残念に思います。二度とこのようなことをさせないよう、息子を四国の実家に戻し監督します。いまは無職なので四国でやり直そう、本人も同意しています」  しっかりと監督するので執行猶予にしてください、というのは証人に立った者が口を揃えて言う定石のようなもの。しかし、息子が50人の少女の体を金で買ったのである。もう少し感情的な言葉も欲しいところだ。「長いので手短に」と裁判官が合いの手を入れるくらいには。

新宿区役所で大暴れ

 男はさらに「公務執行妨害」「傷害」でも起訴されているが、こちらに少女は関係なし。新宿区役所を訪れた際、生活保護の担当者に、「いま住んでいる物件は家賃が高額なので引っ越したらどうか」と注意を受け逆上。男は「そんな高圧的な言い方しないでくださいよ」とキレ、担当者を素手で殴った。 「注意の仕方が嫌で、心にグサッときました。腹が立って殴ったのだと思いますが、そのときの状況を覚えていません。カッとして人を殴るなんてことは今までありませんでしたが、生まれてはじめてくらいに興奮しておりました」  現場には力の弱い女性職員もいたことだろう。高齢者の利用者もいたかもしれない。区役所にある武器といえばボールペンぐらいかもしれないが、ペンでも思い切り刺されたら死んでしまいそうである。そして何より、この青白い男が我を失うくらいにキレるっていうのが怖い。キレたヤクザや半グレのほうが何百倍もまだ話がわかりそうである。すぐに周りの職員が駆け付け、後ろ向きに倒され、大勢に机ごと押さえつけられた。5分後に警察が到着し逮捕。男は左足と左手の小指を骨折した。 「とても痛く無抵抗だったのに、『絶対にゆるめるなよ!』と押さえ続けられました」  男は不服そうに過剰防衛を訴えた。
次のページ 
ネットじゃなくても俺は女を抱ける
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会