吉村大阪府知事、検察庁法改正案に「僕は反対ではない」と表明
5月14日、大阪府庁で定例会見を行う吉村洋文・大阪府知事
「維新副代表・吉村洋文大阪府知事は、橋下徹・元大阪府知事よりもずっと与党寄り(政権補完志向)なのではないか!?」
このことを実感したのは、5月14日の吉村府知事定例会見。検察庁法改正案について聞いた時のことだ。
――橋下徹さんも家庭内で話し合った結果、「(検察庁法改正案は)荒削りで反対だ」というふうに言っているのですが、どうご覧になっているでしょうか。
吉村府知事:反対であれば、それは橋下さんの意見なのだと思います。僕は最後、やっぱり突き詰めたらどこが人事権を持つべきなのか。(人事権を持つ内閣が決めた)その人事がおかしいとなれば、今度はその人事を決めた人をクビにする権限はわれわれにあるわけだから、
そういった意味では僕は反対ではないです。
※ ※ ※
「内閣が検察官の人事権を持つべき」と主張する吉村府知事が、初めて検察庁法改正案に反対ではないという立場を明らかにしたのは、
5月11日の囲み取材だった。
これを同日配信の「
スポーツ報知」が「吉村洋文大阪府知事『
#検察庁法改正案に抗議します』運動に理解示すも『僕は法案に反対でない』」と報じると、翌12日の
「改正案に関する緊急記者会見」(Choose TVがネット配信)に参加した維新の
足立康史衆院議員もこの“吉村副代表発言”を紹介、
「党の考えである」とも述べていた。
維新は、政権協力の見返りを狙う「ゆ党」路線を堅持!?
一方、“維新創業者”的存在の橋下徹・元大阪府知事は5月13日のTwitterに、家族で話し合って
「改正案反対で一致」したと投稿。
「橋下徹氏、検察庁法の改正案を長男と議論したことを明かす『今の検察庁法改正案に反対で一致。今回の案は粗すぎる』」(14日配信の「スポーツ報知」)と報じられていた。
「野(や)党」を自称しながら「与(よ)党」寄りの言動をする維新は、しばしばその中間の
「ゆ党」とも揶揄されている。カジノ関連法案や共謀罪など与野党激突法案では“自民党別動隊”のような動きをして政権をアシストし、一方で地元・大阪への利益誘導(万博など維新肝いり政策への政府支援や関連予算増など)を勝ち取ってきた。
橋下氏が2018年9月に出した
『政権奪取論 強い野党の作り方』(朝日新書)には、安倍政権と維新のギブ・アンド・テイクの関係がこう書かれている。
「大阪の政治行政は、安倍政権の協力で、これまで進めることができなかった政治課題をどんどん進めることができた。うめきた2期開発、阪神高速道路淀川左岸線の延伸、大阪万博への挑戦、カジノを含む統合型リゾート推進法(IR推進法)の制定、リニア中央新幹線の大阪開通の8年の前倒し――その他、これまで法律や制度の壁にぶつかっていたことを安倍政権の協力で乗り越えたことは多数ある。ゆえに、
日本維新の会が安倍政権に協力することは当然だ」(同書231ページより)。
※筆者の過去記事
「丸山穂高衆院議員は橋下徹氏ら維新の行儀見習い(再教育)で戦争法反対から戦争志向へと変貌!?」参照
「安倍政権に協力する見返りに、大阪への利益誘導に成功した」と橋下氏は振り返ったわけだが、この路線を後継者の吉村府知事も引き継ぎ、今回の検察庁法改正案においても実行しているように見える。