5月12日の「検察庁法改正案に関する緊急記者会見」では、維新の足立康史衆院議員の発言に対して、改正法反対の枝野幸男代表ら四野党幹部が反論するやりとりとなった(Choose TVのネット配信より)
維新国会議員団も、吉村府知事と同じく賛成の立場だ。5月12日にネット配信された緊急記者会見では
「ゆ党(維新)対野党(立民・国民・共産・社民)」という様相を呈した。
維新の足立議員は
「『官邸が黒川弘務氏を検事総長にしたがっている』と考えるのは陰謀論過ぎる」「定年延長ごときで左右されるほど検察はヤワじゃない」「内閣がおかしな形で検察の任命権をコントロールしたなら、国民が内閣を倒せばいい」などと主張した。
それに対して、立憲民主党の枝野幸男代表は
「制度として公平中立性が確保されるかどうか、それが立法府である我々の役目だ。検察がヤワかどうかという印象論は関係ない」と反論。
「内閣が認めたときだけ定年が延長されれば、検察官は政権の意向に反することがしにくくなる。検察の中立性がゆがめられることは間違いなく、断固許すわけにはいかない」と徹底抗戦を宣言した。
すると、ほかの三野党トップも次々と反対を訴えた。国民民主党の玉木雄一郎代表が
「不要不急の典型だ」と疑問視すると、共産党の志位和夫委員長も
「検察は内閣に生殺与奪の権を握られてしまう」と問題視。社民党の福島みずほ党首も
「検察が内閣の意に沿うことしかできなくなれば、社会の闇は暴かれず、社会は腐ってしまう」と警告したのだ。
四野党幹部との立場の違いが鮮明になった足立議員は
「与党を援護射撃するつもりはない」と、政権補完勢力ではないことを強調した。しかし、15日の内閣委員会で維新は
「野党の主張にも一理あるが、改正案は言うほどに悪くない」と与党を援護射撃、党として賛成することも決定したのだ。
吉村府知事「検察庁の内部で人事権を持つのではなくて、内閣が持つべき」
足立議員と同じ主張を、吉村府知事も先の会見で何度も繰り返した。
――検察庁法改正案の中には、野党が(修正案で)削除要求をしている内閣の特例的な定年延長が入っています。(特例的な定年延長による)恣意的な運用で、検察が内閣のコントロール下になってしまうのではないかという懸念が示されていますが。
吉村府知事:まず本質として考えないといけないのが、検事総長の人事権を誰が持つのか。持つべきなのか。誰が持つのが国のあり方としてあるべき姿なのかという問題意識ですね。
国家権力への強烈な捜査権を持つ、検察庁トップの人事を誰が決めるのか。その問題の本質を考えなければならないだろうと思っています。今までは検察庁の中で完結していた。つまり、僕らが選挙で選んだ人とは関係のないところで選ばれていたのが、あるべき姿なのか。
(検察庁が)独善化したら、誰がストップをかけるのか。その人をクビにできないとしたらどうしたらいいのか。政治家は選挙で、我々の力でクビにできますが、公務員はクビにはできません。
実力組織を持つ、特に検察庁については、僕は内閣が第一義的に(人事権を)が持つべきだと思います。
――ポイントは、野党が修正案で削除要求をしている「(検察官の)定年延長の特例を認めるのかどうか」ということです。特例的に延長する・しないを内閣が決められることについてが、いちばん問題視されているのではないでしょうか?
吉村府知事:突き詰めて考えたら、誰が検事総長の人事権を持っているのかが最後の論点として持ち上がると思います。僕は検察庁の内部で人事権を持つのではなくて、内閣が持つべきだと思っています。(人事権行使の)そのやり方がどうしてもおかしいとなれば、「政治がおかしい」ということで、(内閣を)倒しにかかればいいと思います。